2025年1月7日火曜日

☆魔性の女風の人②☆

 ☆魔性の女風の人①☆の続きです+++

高3になると、あたしは話したこともない別のクラスの男の子に片思いしていた。
好きな芸人に外見や雰囲気が似ていた、というそれだけの理由だけで、
よく言えば乙女チック、悪く言えばバカな恋に燃えていた。
親友と後輩Dは変わらずラブラブな恋人関係が続いていた。

そして本題のA子は、C子と付き合っていたB先輩の浮気相手となっていた。
彼女には他の学校に彼氏ができたとかなんとか言っていた気がしたが、
後輩FからB先輩との関係を知らされて『忙しい人だなぁ』と呆れていた。
仲の良い後輩たちとC子には知らせない様に細心の注意を払い、
面倒なことしてくれるA子にはうんざりさせられていた。
学校では真面目に良い生徒として過ごし、部活では真面目に男漁り、
家に帰ってからは気になる男たちとマメに連絡を取り合っていたのだろう。
あたしたちは密かにA子のことを「魔性の女風の人」と嘲笑していた。

C子とあたしは志望大学が同じことからすっかり意気投合して、
高3の夏休みは親友以上に一緒に過ごしていた。
たまたまC子と一緒に食事することがあったとき、
C子からB先輩と別れたことを聞かされた。
B先輩から他に好きな人がいると別れを切り出され、別れを受け入れたと。
あたしはそのあと密かに後輩DやFに探りを入れたら、やっぱり原因はA子だった。

C子だけはその原因を知らなかった。
でもC子が知ったら部内の空気が壊れてしまうことを危惧したあたしたちは
絶対にC子に知らせるな!と躍起になって、
この事実をあたしたちが卒業するまで隠し通した。
C子が部長だったこの部活、A子はどんなつもりで毎日参加していたのか…

夏休みが明けるとあたしたちは部活を引退し、
あたしはとりあえず受験に向けて自分のことを優先するようになった。
3年はA子とクラスが違ったから、ようやく変なしがらみから解放された気がした。
あたしは運よく早々に推薦で第一希望の大学を合格することができたから、
たまに部室に顔を出して挨拶してから帰宅する日々を送っていた。
C子は残念ながら推薦枠を勝ち取ることができなかったため、
一般試験に向けて塾通いが始まり、卒業式まではしばらく疎遠となった。

卒業式に久しぶりにC子と話したが、彼女は残念ながら受験に失敗してしまい、
浪人して再度あたしと同じ学校を受け直すことに決めたと話してくれた。
最後までA子とB先輩のことはみんなで隠し通すことに成功はしたが、
そのころにはこの二人もすでに別れていたという…

卒業後しばらくして、親友と久しぶりに会う機会があった。
お互いの学校のことや後輩Dとのこと、あたしの恋愛トークなどなど話した後、
親友がおもむろにA子のことを話し始めた。

A子は市内の短大へ進学したことを、卒業前に本人から聞いていた。
まだ入学して数か月も経たないというのに、短大の友達の彼氏を奪い、
卒業後は結婚するなんて話までしているという。
親友とA子は同じ中学出身。
短大の同じクラスには親友の中学時代からの友達も通っていて、
連絡を取り合う中でA子のことを偶然聞いたという。
この略奪劇は短大のクラス内で話題になった…ということらしい。
相変わらず変わってないねーと大爆笑してこの話は切り上げた。

あたしは大学進学後も部活の後輩たちとマメに連絡を取り合い、
みんなで定期的に集まって顔を合わせていた。
そのときには必ず後輩FからはA子の話を聞かされていた。
A子は友達から奪った彼氏がいるというのに、後輩Fに手を出そうとしていたらしい。
後輩Fは武勇伝のように俺は断ってやったぜ!と誇らしげに語ってくれた。
あたしは思わず『結婚する予定の彼氏がいたはずなのに?!』と口を挟むと、
後輩Fは『たぶん俺が断ったからまだその男と続いてるんじゃない』と一言。
あんなに真面目そうなA子が必死に男性との関係を発掘していたことに
あたしも後輩もネタとして笑い飛ばしていた。

その後、A子がどうなったかは知らない。
後輩Fにしっかり断られてからは、彼女は消息不明となったらしい。
あれだけ積極的にいろんな男性へアプローチしていたんだから、
今は普通に結婚して家庭を築いているであろう。
女にも発情期があることを教えてくれた、貴重な存在です+++

ちなみに親友と後輩Dはあたしたちが高校卒業後に後輩Dの浮気でお別れ。
その後何度も別れて戻ってを繰り返したが、
親友が今の旦那さんと出会ってからあっという間に結婚を決めたために、
後輩Dは泣きながら親友をあきらめたという。
あたしのところにも協力要請が入ったけど丁重にお断りしたし、
親友からは『相手にしないで!』と申し出があったのでしたww

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