友人の仕事の手伝いとか、旅行とか、目的は様々だったが、
英語ができないくせに、あたしは一人で渡航することが多かった。
この話を今の同僚たちとしていた時、日本人なのに珍しいね、と言われた。
彼女たちの間では、日本人は常に通訳を伴って行動しているという印象が強いらしい。
それはあたしたちの会社が通訳業務を担っているからかもしれないが、
確かに過去を思い起こせば、昔の同僚たちが海外出張するときは常に通訳を連れていたし、
契約していた通訳がブッキングできないときは、あたしの友人を紹介したことも。
他社でも大体同様で、日本語堪能な外国人を引き連れて出張に出ることが多いだろう。
今あたしが勤務している会社は、前述の通り通訳も業務に含まれている。
そのためもし日本の客先が出張に出るとなった場合、同行して通訳することになる。
仕事だから同行して通訳は何も問題は無いのだけど、同僚が疑問に思うことは、
『なぜ休日まで、自分たちがガイドとして付き合わなければならないのか』だった。
あたしは休日まで総経理や同僚たちが借り出されている事実にびっくりした。
あたしの昔の上司がそうだったんだけど、月曜日朝から万全な体制で仕事するために、
日曜日に前入りするようにスケジュールを組んでいた。
その場合、上司は通訳ではなく別のツテを頼って、その日を過ごすようにしていた。
今の客先にもそういう出張スケジュールを組む方がいらっしゃる。
一応気を使って「空港への送迎」や「案内」が必要かを尋ねるようにしており、
当然先方は「頼めるならお願いしたい」とおっしゃることがほとんど。
台湾であろうが、第三国であろうが、こちらが同行すればお客さんは安心だから
地理も言葉もわからない外国であれば、頼りたくなる気持ちはわからなくもない。
その場合、基本は総経理が接待することが多いが、総経理の都合が合わない場合は
同僚たちがお客さんの送迎と食事や観光の案内をすることになる。
総経理も同僚たちのことを考慮して、出来るなら出張予定をずらしてもらうか、
もしくは送迎や案内ができないことを告げるようにしているらしい。
ところが一度総経理の接待を受けた客先からは
「言葉わからないから~不安だから~」と同僚たちへの送迎要請が入るそうだ。
観光や食事の付き添いだとしても、同僚はアレコレ気を遣う。
フライトの時間によっては朝早くに家を出て空港へ向かわなければならず、
さらには事前に車の手配や案内先なども決めておく必要がある。
休日返上で仕事しているようなものなんだけど、
お客さん側はたぶんそこまで考えが及ばない。
接待費は会社から支給されるけど、同僚の貴重な休日は返ってこない……
一度あたしが担当するお客さんがベトナム出張時に前入りする予定を組んだ。
申し訳ないが同じタイミングでベトナム入りしてほしいと要請が入ったため、
総経理が「あなたは家庭があるから」と自らベトナムへ前入りを買って出てくれ、
あたしには月曜日の早朝のフライトで台湾を発つスケジュールで調整してくれた。
台湾に移住してから、日本で勤務していた頃の同僚から、台湾出張行くから
空港からホテルへの送迎とガイド頼めない?という連絡はたまにある。
一応会社として台湾国内に契約している通訳がいるようだけど、
休日に呼び出すのは申し訳ないから…とあたしを頼ってきた。
旧知の同僚に会えるのはあたしもうれしいから喜んで受けているが、
もし今のお客さんから突然、前入りするから1日ガイドして!と連絡が入ったとしても、
あたしは申し訳ないがお断りさせていただくと思う。
日本語が堪能な外国籍の友人がいる人はそれほど多くないだろう。
一人で外国へ行くことは、本当に不安なのも経験があるから理解できる。
とは言え、最低限のマナーと配慮は必要でもある。
同僚の『日本の人は毎回無料でガイドしなきゃだから疲れるよ』は、
多くの外国人日本語通訳者が感じている言葉だと、あたしは受け止めている――
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