2024年12月19日木曜日

☆猪突猛進な人☆

 高校生の頃は、部活内の男女関係にうんざりさせられ、
あたしは恋愛とは縁遠い生活を送っていた。
自分が部活に在籍している間は、いざこざに巻き込まれたくない!
と、必要以上に部内の男子たちと関わらないようにしていた。
そんなあたしが、卒業後に部の後輩と恋人関係になってしまった。

あたしと元カレ、あたしの高校在学中は接点が少なかったけど、
一応互いに連絡先は交換していたので、卒業後もたまに連絡は取っていた。
大学やバイトで忙しかったので元カレの存在は薄かったけど、
辛いことが重なった時、マメに連絡をくれた元カレに心を掴まれてしまったww

あたしはすでに卒業していて、高校に立ち寄ることなんてなかったから、
プライベートで仲良くしていた後輩数人と元カレ以外とは
当然顔を合わせることがなかった。
だから別にトラウマの部内恋愛トラブルには関わらないだろうと思ったけど、
元カレが現役だったから結局間接的に巻き込まれてしまった。
あたしが卒業後に入学した知らない後輩に、元カレが狙われたのだった。

この『知らない後輩』が非常に厄介な存在だと、元カレから聞かされていた。

仮にこの『知らない後輩』をHさんと呼ぶことにする。
Hさんは元カレの中学時代の後輩でだった。
中学時代は互いに認識しておらず全くの他人という状態だったらしいが
Hさんが部活入部後から、元カレは彼女にロックオンされてしまった。

元カレは日頃から女子の外見についてどうこう言う人ではなかったのに、
Hさんのことは本当に嫌がっていたので『不細工』といつも言っていた。
あたしも決して人の外見に意見できる立場ではないけど、
お世辞にも可愛いとは言えないかな…と写真を見て思ってしまった。
高校生にもなれば多少色気づくころで、あたしも人並みに気を付けていたが、
Hさんは地味な感じの子だったから、外見に華やかさがなかった。

Hさんに付き纏われた元カレはある時とうとうイライラが限界に達して
『俺はもう彼女がいるから』とあたしとの関係をみんなの前で暴露し、
二度と付き纏いのようなことはするなとハッキリ断ったという。
するとHさんは『自分の方が先に好きだった』などと
意味不明なことを一方的に泣き叫び、手が付けられない状態になったのだそう。
元カレはじめ他の子たちもその様子にすっかりドン引きしてしまい、
Hさんはしばらく一人興奮状態で泣き叫び続けていたらしい。
その後、騒ぎを聞いて駆けつけた顧問の先生によって退場されられた…

元カレや仲良しの後輩たちからその話を聞いたとき、
性格の悪いあたしはその様子を想像して爆笑してしまった。
いくら失恋でショックを受けたとはいえ、泣き叫ぶのはどうなんだ!?と
尋常じゃないその反応が、あたしにはおかしくて仕方がなかった。

Hさんの元カレへの付き纏いはその後もしばらく続いたけど、
元カレが完全無視を貫いたため、最後にラブレターを渡されて、収束した。
Hさんからのラブレターの中身は見ていないけど、
封筒に書かれた元カレの名前の字があまりにも汚文字だったので
何だかいろいろと残念な女の子だな…と思ってしまった。

Hさんは元カレを諦めたあと、顧問の先生にターゲットを変えたらしい。
泣き叫んだあの日、顧問の先生に連れ出された後に何かあったのかもしれない。
間違いなく先生は『生徒をなだめる』仕事をしただけだっただろうけど、
Hさんはすっかり勘違いしてしまい、先生好き!と毎日しつこく追っかけ続けたそう。
これも後輩や元カレから情報が回ってきた。

Hさんは毎日顧問の先生に好き好きアピールし続けたものの、
先生からは『俺妻子持ちだし、君は生徒の一人だから』と軽く流され、
当然だけど全く相手にされなかった。
それなのに好き好き攻撃とラブレター押し付けが止まらなかったらしい。

Hさんはどうにも暴走するクセがあるらしく、
思い込みで突っ走って拒否される…をひたすら繰り返す習性があった。
元カレに対しても、顧問の先生に対しても、全く同じ行動だったらしく、
何かあるたびに後輩たちが笑い話としてしばらく語っていた。

しばらくして元カレも後輩たちも高校を卒業してしまったので、
Hさんのその後の動向は誰も知らない。
元カレの大学受験のためにあたしたちも破局してしまったけど、
別れてからもたまに連絡を取り合っていた。
元カレが再びHさんから迫られることはなかったらしい。

そんなHさんも今はもう30代半ば。
若かりし頃は独特なパフォーマンスで好きな相手に愛情表現していたHさんも
さすがに今は人並みに結婚して家庭を築いているだろう。
もしかしたらまだ拗らせている…ってことは、ないと思いたい。

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